余韻
情事の後って気だるさが気持ちよくないですか?
私は気だるさの中にいるときに、彼のタバコの匂いが漂うのが好きです。
この時も彼はタバコを吸いながら音楽の話をしてくれた。
次はいつ逢えるかな?
そんなことを考えながら彼の話を聞いていた。
待ち合わせの場所に戻るときも彼の楽しい話は続いていた。
帰りたくない…この時間をもっと楽しみたい。
でも口にすることは出来なかった。
「おやすみ~気をつけて帰ってね」
この言葉だけ言えた。
家に戻った私に主人の第一声は
「タバコ臭い。友達吸うの?」
こんな日の時に使える架空の友達を主人に話している。
主人は決して疑わない。
まさか私が不倫しているなんて知らない。
テーブルをはさんで、笑顔で話を聞いている私が…
ついさっきまで他の男と一緒だったなんて疑う事はない。